野良で切り上げループをひたすら繰り返す大剣に遭遇。
いつもならムッとしてしまうはずなのに、思わずニッコリしてしまう…
そう。
そこにはとても微笑ましい光景が広がっていたからだ。
それは野良として救難に参加したときのこと。
駆けつけて早々、ぶっ飛ばしか傷つけを狙い、私はクラッチを発射した。
クラッチでモンスターに張り付こうとしたその瞬間、私は宙を舞った。
味方にカチ上げられたか、それとも切り上げられたか、どうやら私は味方からの攻撃で吹っ飛ばされたらしい。
吹っ飛ばされた原因はすぐにわかった。
モンスターの足元で、切り上げループをひたすら繰り返している大剣さんがいたので、まず間違いないだろう。
他の味方ハンターさんも次々宙を舞う。
切り上げられて宙を舞っても、お構いなしと言わんばかりにモンスターに突進を繰り返す、救難参加のハンターたち
かたやクエストリーダーである大剣さんは、モンスターの元に集うハンターさんたちをひたすら切り上げている…
さすがに大剣で切り上げはどうかと思うよと、いつもならムッとしてしまうところだが、あることに気がついた。
それは、今この場にふざけているプレイヤーは、一人も存在していないということ。
ここに集ったハンターさん全員、ものすごい真剣(?)にモンスターに立ち向かっている。
飛び交う粉塵、飛び交う罠、そしてもれなく飛び交うハンターたち…
そう、チャンスの時でさえ3人が順番に宙を舞う…
にも関わらず、全員からものすごい討伐しようとする熱意を感じる。
そう、ふざけているプレイヤーは一人もいない。
全員がこのモンスターの素材やら報酬やらを獲得しようと頑張っている。
この熱意は最近じゃなかなか見ないし、味わえない感覚だったこともあり、いつもならムッとしてしまうはずなのに、なぜかとても微笑ましく、大袈裟に言うととても尊く感じた。
切り上げられても気にしない、むしろ切り上げてくれ。
私はどうやら壊れたようだ。
そこに確かに存在する、並々ならぬ討伐への熱意が私を壊してしまった。
なんど宙を舞ったかわからないが、クエストクリア。
クエストをクリアすると同時にもの凄い数のスタンプが流れてくる
本当に皆、喜んでいるようだ。
そこで私は正気に戻る。
もしかして私以外は全員、ボイチャかなにかで繋がっていたのではないかと勘繰った。
でなければ、あんなに切り上げられて険悪なムードになるどころか、あんなに楽しそうなムードになるわけが…
クエスト、救難参加、救難参加、救難参加…
サークルのアイコンの表示も皆違う…
どうやら考えすぎで、偶然集まったメンツで間違いないだろう。
するとサークルカードが送られてきた。
テキストチャットの方にカタカナで
ヨケレバ、ハイッテ
私は背筋が凍るような感覚に襲われ、そのままゲームの電源を落としました…
あの大剣さんはダメージ表記をオフにしているのかな?
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